個人事業主が受けられる控除にはさまざまなものがありますが、寄附金控除もその1つです。その名の通り、社会へ貢献するために行った寄附が控除対象として適用されます。自身の心が赴くままに行った社会貢献活動によって、税制面でそのまま自身に恩恵が返ってくる魅力的な制度なので、活用しない手はありません。
とはいえ、まずは寄附金控除の仕組みについて把握しておく必要があるでしょう。先に、寄附をした場合に控除を受けられる制度であると紹介したように、定められた条件を満たせば、所得税や住民税の控除を受けられる仕組みとなっています。寄附金控除は本来、社会貢献活動を促進する目的の制度であるため優遇されやすく、寄附金相当額に対する課税分を免除できます。ただし、どの団体に寄附をしても良いというわけではありません。寄附金控除の対象となる寄附先としては、公益社団法人や学校法人、独立行政法人、社会福祉法人などの公益性の高い団体のみです。宗教法人や外国の各種団体、街頭募金などへの寄附は控除の対象外となっています。こうした公益性の高い団体への寄附金を「特定寄附金」と呼び、寄附金控除の対象となり控除が認められるのです。手続き方法は、なにも難しいことはありません。確定申告書の指定された欄に、寄附先の名称や寄附金額などの詳細を記載し、領収書を添付するだけと簡単に手続きできます。寄附金を口座振り込みにした場合は、利用明細や振込用紙の控えでも大丈夫です。寄附金控除を受ける際の大切な証明書となるため、手続きを終了するまではなくさないように保管しておくようにしましょう。
今では多くの人が利用しお得な印象が定着した「ふるさと納税」も、寄附金控除の一種です。ふるさと納税といえば、自身の故郷以外にも、馴染みのある地域の地方公共団体へ寄附し、特産品の特典をもらえることで人気が高まっている制度ですが、個人事業主にとってはさらに有意義な制度となっています。ふるさと納税は、年間の所得に応じて控除上限額が変動する仕組みとなっており、その上限額は住民税所得割額の2割が目安です。会社員よりも所得金額の大きい個人事業主は、同時に控除上限額も大きくなります。つまり、所得金額が大きいほど、ふるさと納税の控除上限額も大きくなり、多くの恩恵を受けられる個人事業主は、より一層お得感を感じられるのです。気をつけたいのは、個人事業主の場合は所得金額が変動するため、控除上限額は毎回同じではないということ。そのため、年間所得額がわかる11月から12月頃にふるさと納税をするのが良いでしょう。
なお、返礼品と一緒に送られてくる寄附金受領証明書が、確定申告の際に添付する証明書類となるため、必要になるまでしっかり保管しておくことが大切です。これらの寄附金控除の制度を上手く活用し、賢く節税対策を行うのが得策でしょう。
個人事業主の節税対策を考えるなら、何はともあれ「経費」を一通り見直してみましょう!「事業に必要な支出」が経費として認められるわけですが、個人事業主にとって事業に必要な支出とはどのようなものが該当するのでしょうか?逆に、「経費に出来ないもの」として何か決められている項目はあるのでしょうか?ざっと目を通してみましょう。もしかしたら、今まで計上していなかったけど、実は計上できるような経費が見つかるかもしれません。 個人事業主で経費に出来ないものの詳細を見る
個人事業主の退職金といわれる、小規模企業共済を知っていますか?個人事業者が事業を廃止したときのために積み立てておける共済制度です。掛け金は毎月1,000円という小さな額から設定できて、500円単位で増額できます。この小規模企業共済の掛け金も、控除の対象になるのです。共済金として積み立てたお金は後で自分に戻ってきます。税金として支払うよりも断然お得ですよね。個人事業主の賢い節税対策として、使える控除は使いましょう。 個人事業主は小規模企業共済でお得に控除の詳細を見る
個人事業主から法人化を検討するにあたって、税金はどう変わるのか?というのも大変気になるポイントですね。法人になれば当然、税金のルールも仕組みも変わってきます。法人化することによって納税額が増えるケースもありますし、どちらがお得かは一概には言えません。まずは、個人事業主の税金と法人の税金、それぞれの違いについて理解を深めておきましょう。法人化することで得られるメリットとデメリット、そして税金の差などをよく比較検討することをオススメします。 個人事業主と法人の税金の違いの詳細を見る